始める前に BEFORE HOUSE-MAKING , BEFORE REMODEL
住宅建築費用を把握しよう
実際に家づくりにどのくらい資金が必要なのか、あるいはどのような工事項目があり、諸費用が必要なのかなど、当たり前と言えば当たり前なのですが、家づくりを経験した事がない一般の方々には、ほとんどと言って良いほど理解されていません。
家づくりの計画を始めるに当たり、工務店やハウスメーカーと接し、見積りとプランを入手して、初めてその工事項目の詳細や、考えてもみなかった諸費用などを目にして思い知らされるのです。
言葉で表現すると、「うそー」、「ショック」、「建たない」・・・などと感じられる方が多いのではないかと思われます。
これは、求められていた家のイメージ(グレード)が、予算に比べて高すぎた場合や、逆に、家のグレードは一般的であるが、極端に予算が少な過ぎた場合、あるいは、家づくりに付帯する諸費用を全く考えていなかった場合等、色々考えられます。
要するに、建物のグレード感とコストの関係、建材知識やその価格、その他、建築に付帯する諸費用等の基本的な事前知識の情報収集ができていなかったという事です。
建て主としては、知らなかったでは済まされません。これは、明らかに勉強不足です。
情報収集の段階で、モノの価格や相場を学びながら、自分の予算にあったモノが何なのかを見極めておかなければなりません。できるものなら、それを知った上で、グレードが同じでも価格が安いもの、あるいは価格は同じでもグレードが良いものなど、事前に研究しておけばベストです。
では、家づくりには、具体的にどんな工事が必要なのかをお話しします。
ここは、家づくり全体のコストを把握するための大きなポイントとなりますので、しっかり理解して下さい。このポイントをしっかり理解すれば、後々予算が狂ったと言って慌てる事はないはずです。
まず、大きく次のように分類ができます。
(1)建築本体工事費用、(2)付帯工事費用、(3)諸費用、(4)その他工事費用(予算取り)
では、各々の概要を説明します。
本体工事とは、家の形としてできあがった状態までの工事のことで、屋根・外壁・サッシ・ガラスなどの外観上も完成し、当然内装も全て完了しており、見た目にはどこから見ても仕上がっている状態のことです。ここまでの段階に要する費用を本体工事費用と言います。
ところが、ここまでの工事だけでは、「まだ住めない」のです。
皆さんには聞きなれない名称だと思います。どのようなものが含まれるのでしょう。
代表的なもので言えば、ライフライン=給排水・電気・ガスの接続工事です。これで前項(1)で「まだ住めない」と言った訳がお分かりいただけた事でしょう。その他、建替えの方であれば、解体・整地工事費用等の工事項目もここに入ってきます。
また、建築実行以前の大切なポイントですが、敷地に対する地盤調査費用や、その結果次第で必要となる地盤改良(特殊基礎)工事費用等も、この付帯工事費用に計上されます。
その他に、設計料や住宅性能保証登録料(任意・十年保証制度)等の費用があげられます。
(1)+(2)の小計に、忘れてはならないのが5%の消費税です。建物には消費税がかかる事をお忘れなく。
細かい費用かもしれませんが、役所に提出する建築確認申請の費用や、建築を依頼する業者と交わす建築請負契約書に添付する印紙代等も、必ず計上しておかなければなりません。
基本的に、一般の方々が家づくりの資金計画で一番見落とし易い費用項目です。特に、ここは、しっかり押えなければなりません。該当する主項目のみ記します。
1. 【建築工事に関わる項目】
- 外溝工事・・・いわゆる「ピンキリ」の世界です。予算に合せて条件を決める事が肝要。
- 空調工事・・・冷暖房工事。台数は要検討。設置場所・電源確保など将来も要考慮。
- 照明工事・・・各居室の主照明。これも「ピンキリ」。量販店での購入も要検討。
- カーテン工事・・・「究極のピンキリ」。レール・生地次第。量販店・既製品も要検討。
- その他、予算上大きな変動要因となる項目・・・大きな項目でも三つ、四つ考えられます。オプション要素まで考えると、さらに増えることになります。
2. 【工事が終わり、入居まで・入居後にかかる項目】
- 登記費用・・・滅失、表示、保存登記費用
- 引越し費用・・・自己荷詰、あるいは、お任せで金額倍増。相見積り必須。格安業者は要注意。
- ローン諸費用・・・融資利用の際の事務手数料及び保証料。火災保険加入も必要。
- 予備費用・・・新居入居時の家具・家電購入費用。持込み、あるいは処分の要否を判断し予算計上。
- その他、新築、建替え、融資利用の有無・・・等の諸条件によっても、必要となる費用項目は異なり、その金額も予算に対して大きな影響を及ぼすことになりますので要注意です。
全てのケースを想定した記述はできないため、主項目のみしか書くことができません。しかし、前述項目程度は、最低限把握しなければなりません。しっかり事前の情報収集で学んだ方にとっては、当然の知識なのですが、情報収集の足りなかった方には、少しショックを受けられた方もおられたかと思います。
恐らく、「あぁそうか」、「契約に含まれてないの?」、「その他にも項目があるなんて・・・」と感じられた方は、もう一度資金計画の見直しをされる事をお勧めします。
一般論ですが、前記(4)その他工事費用だけで、少なくとも建築費用全体の約20%は必要になると考えられます。「ピンキリの判断次第」ですが、余裕を見れば、約30%を計上しておいても良いくらいです。
ダメ押しになりますが、(4)その他工事費用の項目・金額は、どこの業者に決めても、必ずかかってくるという事を忘れないでください。
以上より、皆さんがお考えの建築費の上限金額から、(4)のその他工事費用への投入額を差し引いた金額が、実際の家にかけられる「建築コスト」という事です。
皆さんの夢を壊す様な話で恐縮ですが、この事実をこの段階で知って頂くことが、今後の皆さんの家づくりの成功に繋がると信じております。
知らずして進める事の恐さを想像して下さい。業者によっては、契約を取るために、安く見せかけようと後々必要となるこういう費用項目を告げずに、契約をしてから追加項目として話を出してくる場合もあります。これは最悪のパターンです。
この事実を、契約をしてから、あるいは建築着工してから知ったのでは遅過ぎるのです。ここが、資金計画の最重要ポイントです。