始める前に BEFORE HOUSE-MAKING , BEFORE REMODEL

予算を組み立ててみよう

(1)予算の組み立て方を考える

 さて、あなたは単純に「現在余裕のある金額が○○万円なので予算は○○万円」として考えていませんか?そして、その金額から今回行えるリフォームの内容をイメージしていませんか?例えば「今回は予算が100万円だから、風呂と子供部屋のリフォームにしようか。」というような発想です。この考え方は予算の組み立て方としては窮屈で、後に予算オーバーや工事内容で不満が残ることになります。

 実は予算は、目的が明確になり、見積りを取得し、それを見てから立てるものであり、賢い予算の立て方は、最初に予算を立てないことです。予算を最初に決めてしまうと、リフォーム内容を自分で制限することになり、同時にリフォーム業者の提案の幅を狭めることになります。それは二度手間や非効率なリフォームになる危険性を含んでいます。
 リフォームは一回とは限りません。今回できなくても、今回取得した見積り・提案は次回の参考資料になるのです。

 逆に気をつけなくてはいけないのは、予算に余裕ができると、つい余計な工事を行ってしまうことです。メンテナンスなどの計画を理解し、目的をハッキリ持った上での判断であるのなら良いのですが、予算を先に組み立てて、おおよその金額の予想をして見積り依頼をすることは間違いです。

 まずは、今回明確になったリフォームの目的を全て行うことだけを基本と考えること。次に、見積り依頼は余計な予測・希望を入れずに「今回のリフォーム目的の全て」を網羅した内容で依頼すること。そして見積りを取得してから最終的な予算組みを行うこと。この順番を決して忘れないで下さい。

(2)最初の見積もりは業者の力量判断材料

リフォーム業者の見積り手法に、「最初の見積りは他社より安い見積りを出す」というテクニックがあります。これは、「別途工事という別枠を設けて、見積りに全てを入れずに表紙に記載し、金額を低く見せる」というものです。一般消費者は最初に表紙の金額を見てしまい、それに影響されやすいという傾向がありますので、競合他社よりメリットがあるように見せる手法です。これは競合他社を蹴落とすテクニックとして用いられますが、なぜ、そのようなテクニックが通用するのでしょう。それは予算を消費者が最初に言ってしまうからです。例えば、最初の見積りで三社に依頼した結果、金額に差が出ないのはリフォーム業者が予め消費者の予算を聞いているからです。それぞれ違う三社と詳細な打合せをしていないのに、それぞれ三社から同じ程度の金額の見積りが出てくるのは、おかしいと思いませんか?

 (漠然と持っている)予算を最初の見積り依頼の時に話す必要はありません。というより、予算は組んではいけません。予算の枠が決まってしまうとリフォーム業者は予算枠に合わせた内容で競合他社を蹴落とす方法を考えます。すなわち良い提案の生まれる可能性を妨げてしまいます。最初は、整理した目的を対象とした見積り依頼をすることが大前提です。その後に提出された見積り次第で、予算を決めていけば良いのです。リフォーム業者が「予算はどのくらいですか?」、「見当はずれな見積りをだしても失礼ですので。」と言ってきても予算の話はしないでください。まずは、「この目的を全て網羅した場合の提案と見積りを出してください。」と依頼してください。「100万円を絶対に超えないで。」と依頼したい気持ちは理解できますが、同様の理由から、最初の見積り依頼方法としては避けましょう。

 最初に小さな見積りを作らせると「あれをやったらいくらだろう。」と、どんどん金額が積み上がっていくことになります。契約時は予算内に納まっていても、竣工時に予算オーバーになりかねません。最初から予算を決めて話を進めると、このようなことになるのです。最初の依頼時に全ての目的を達成するための見積りを取得して、相互信頼関係を確認してから減額していく方法が、理解し易く間違いが少ないといえます。

 最初の見積り依頼は、あくまでそのリフォーム業者の力量を試すことが目的です。見積り金額が予想より高額になろうとも他社と比較する必要はありません。同じ提案の見積りではないので比較できるはずもありません。金額は、後からいくらでも調整する方法があることを覚えておいて下さい。予想より高額の見積りになっても焦らないことです。それよりも、依頼した内容をどれだけ理解して提案してくれているのかを判断することが重要です。このときにリフォーム業者の力量が表れてきます。リフォーム業者にとっては手間でしょうが、それを嫌がる業者は論外です。

(3)忘れがちな費用

予算を考える上で注意しなければならない項目があります。リフォーム業者の見積りには正確に入ってこない項目です。例えばカーテン工事や空調工事などの付帯工事です。リフォームは新築と違い小額な工事から高額な工事まで幅広いリフォームがあります。では、どのようなリフォームにどのくらいの付帯工事費用が必要なのかを考えてみましょう。

 全体工事費は「直接工事」と「付帯工事」に分かれています。「付帯工事」というのは、直接的な工事項目ではない工事のことです。外構工事やカーテン・照明・空調などが含まれます。リフォームの場合は、このような付帯工事が一切かからない場合もあれば、必要になる場合もあります。特にカーテンや照明は既存のものを使用するから問題ないと思っていると、窓の変更によるサイズ違いや照明位置の変更により使用できないことも起こり得ます。

 まず、付帯工事のどこまでが見積りに入っているのかを確認して下さい。
 項目として設計費用、建築確認申請費用、解体工事、外構工事、照明器具、空調工事、工事で使用する電気代や水道代、ガス工事など、見積書に「別途工事」として書かれている場合がありますので、注意して見積書を確認して下さい。尚、付帯工事項目については、工事の大小にかかわらず発生する場合がありますので、「小額工事だから」と安易に考えていると思わぬ出費が発生します。

 次に、付帯工事にも入らない項目についてです。引越し費用、仮住まい費用、税金、登記費用、印紙代などです。この項目は、増築やプラン変更を伴う大型リフォーム時に必要になります。特に増築は、不動産取得税や固定資産税の増額や登記費用が考えられます。

 単純に言えば、大きな工事になるほど直接工事以外の費用が増えますが、小額工事でも付帯工事、また付帯工事以外の費用が掛かるのかを確実にリフォーム業者に確認して下さい。特に最初の見積りでは、この内容をわざと隠している見積りも見かけますので、要注意です。

 その他、例えば引越し費用ですが、単純に引越しをしないことが安くなると考えるのは間違いです。引越しをしなければ、引越し費用と仮住まい費用はかかりません。しかし、荷物の移動作業など直接工事費が掛かることや、騒音、埃、そして誰かが必ず工事中も在宅していなければならないこと、セキュリティーの問題など、ストレスが大きくなるという費用以外のリスクがあることも考慮しておかなければなりません。

 目安としては、浴室・キッチン・洗面・トイレの改修が伴い、面積の半分以上に手を付ける場合は、引越しを選択するのが無難です。最初の見積りが出た段階で、引越しを伴う大型リフォームの場合は、余裕を持って50〜100万円程度の費用を予算に加えておきましょう。

(4)公的資金を利用する

 一部のリフォームに、自治体や公共団体からの補助金が出ることをご存知でしょうか?特にバリアフリーや耐震補強に関しては、公的補助金制度が多く存在します。
 但し、自治体により補助金制度に格差があります。誰でも受けられるものには、国が政策として進めている設備を設置することで受けられるものがあります。例えば、太陽光の利用やヒートポンプを利用した設備がこれに当たります。リフォームの補助金制度は、介護、高齢者対策のものや耐震補強に対して支払われるものがほとんどです。しかし、自治体によっては道路の舗装などが補助金で工事してもらえる場合など、思いもしないところで補助金がもらえる場合があります。

 現在では、自治体のホームページに補助金の内容が掲載されていますので、まめにチェックしてみてください。補助金は先着順などの定員数があり、早めに申込みをしないと補助金をもらえなくなります。リフォームを考えたら補助金の申請手続きも、すぐチェックしましょう。

 リフォームの時期もこの補助金の申請に合わせて計画すると良いでしょう。但し、この補助金制度は、あくまで申請制度です。ご自分だけで申請できればよいのですが、リフォーム業者が対応しなければならない制度も多いので、実績のあるリフォーム業者を選択することも大切です。実績のないリフォーム業者でも良いのですが、万一補助金がもらえないと大トラブルになります。
 ダメ工事は、やり直せば解決もできますが、補助金でトラブルが発生すると信頼関係は崩壊し、信頼関係を修復するのは困難です。補助金を活用したい場合は時間的余裕を考慮し、実績のあるリフォーム業者を選択することが無難です。
 今、リフォームをしなくても、一度、自治体にどのような補助金制度があるか調べてみて下さい。あなたのリフォームが、より豊かになることは間違いありません。

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