始める前に BEFORE HOUSE-MAKING , BEFORE REMODEL

資金計画作成 2つのポイント

 家づくりの資金計画を作成する際のポイントは二点。まず一つ目のポイントは「ライフプランニングを作成すること」です。そして、これを作成することから二つ目のポイント、「住宅取得資金を正しく理解すること」につながっていきます。「いくら使えるかではなく、いくらなら払えるか」が基本になります。

 一般的な家庭のお話ですが、主に三十代後半〜五十代前半の方々が対象となる《家族形成・成長・充実期》が、教育資金と住宅取得時期が重なり、最も負担の大きい時期と想定されます。個人差はありますが、お子様の成長と共に、どんどん教育資金が必要になる時期と、必要に迫られた住宅取得に必要な資金が押し掛かり、人生で最も経済的に苦しい時期と言われています。
 実際に、ご自身の周りの人を見回してみて下さい。苦しんでいる方が身近にきっとおられるはずです。「人の振り見て、・・・」と言いますが、ご自信は絶対にそうなりたくはないと考えていても、現実は・・・?計画的に余裕を持って進めたいものです。

 では、何から始めれば良いでしょう?
 その基本となるのは、人生の三大資金、「住宅取得資金」、「教育資金」、「老後資金」です。

 ライフプランニング?聞きなれない言葉でしょうが、あまり難しく考えないで下さい。
 単純に、ご家族の三十年先までを想定した計画(イベント事)を時系列に沿って、「どの時期にどんなイベントがあり、どのくらいのお金が必要なのかの目安を、一覧表にしてみましょうということ」です。「家族全体の資金計画」を立てるのです。

 それをまとめたものが「ライフイベント表」です。
 例えば、お子様の成長に応じた、入学・卒業・就職・結婚といった節目の祝事や、家族旅行や車購入等の家族全体の夢や楽しみ、あるいは、ご夫婦のリタイヤ後までも想定して時期や必要金額を書き込んでいきます。実際にイベント事が、実現するかどうかは別問題ですので、考えられるものは全て書き出しましょう。ここで書き出す際のポイントは、最初から悲観的な人生設計を描かないという事、つまり夢や楽しみの部分も必ず盛り込み、家族皆さんで楽しく過ごすプランを想定する事です。

 想定する際の各論ですが、お子様の生まれた時点で、何年後にどのくらいの「教育資金」がかかってくるかは自動的にほぼ決まります。
 ただし、ご家族毎に、条件や教育観が異なりますので、私立・公立などの進路については、皆さんの想定される条件で金額を入れて下さい。決して無理をせず現実的な考えに沿って書き込んで下さい。
 また、親の務めとしては、子供の修学と共にその責任から解放され、残すところは結婚です。どこまで面倒を見るのかも予め想定が必要であり、タイミングを考えながらお子様への意識付けも必要と思われます。

 最後に、ご自身のリタイアの時期や、その後のご夫妻の生活も考えておく必要があります。
 その時期に、ご家族がどういう状況にあるのかも想定し、どんな備えをしなければならないかを考えて下さい。この時点では、ご夫妻の老後資金のメドがたっていることが望ましいという事をお忘れなく。

 次いで、「キャッシュフロー表」を作成します。
 この表は、ライフイベント表の内容に基づき、同じく三十年間の毎年のお金の収入・支出を一覧表にし、年間収支がプラスなのかマイナスなのかを表示して把握するものです。あくまで、年間レベルの収支把握ですので詳細なものではありませんが、作成する以上、できる限り実態に則して作成しましょう。

 特に、作成時に気を付けたいポイントは、次の通りです。

 この二つの表、特にキャッシュフロー表を作成する事で、「教育資金」「老後資金」の投入時期、具体的な必要額やピーク時期等も認識する事ができるはずです。それを踏まえた上で「住宅取得資金」の投入時期や金額を考えていかなければなりません。

 この時点で二つ目のポイント、つまり各々のご家庭で、「家に当てられる資金=住宅取得資金の上限額」が見えてくるはずです。

 生涯賃貸生活、建売り住宅購入、建築条件付住宅購入、分譲マンション購入、土地+注文住宅建築など、自ずと家づくりに対する答えが導かれてくると思われます。
 ただ、考え方によっては、夢や楽しみ部分を削る事で、家づくりが現実的になる方もいらっしゃるでしょうし、また人によっては、ご親族からの相続や贈与が見込める場合もあります。あるいは、注文住宅から建売り住宅購入へ、夢の方向を変更することで、マイホームという城を構える目的を果たされる方もおられる事と思います。
 要するに、夢の実現に向けたいろいろな模索も必要ですが、まず置かれている環境・現実を認識する事が必要であり、方向性を決めていかなければならないという事です。

 最悪な考え方は、身の丈以上の無理な借入れをして、家づくりを実行に移すという事です。これだけは絶対に回避しましょう。

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